2026-03-23AI

AIエージェントチームを作って、ブログ運営を自動化してみた話

「記事を書く時間がない」問題

5つの事業を回しながら、本業では50名の組織を管掌している。そんな日常の中で、ブログを定期的に更新し続けるのは、正直かなりしんどいです。

以前の記事で「5つの事業をAIと1人で回すリアル」を書きましたが、あの時点では記事そのものは自分で書いていました。事業運営はAIで効率化できていたけれど、コンテンツ制作だけは手が回らない。週に2〜3本の記事を安定して出し続けるのは、時間的にほぼ不可能でした。

本業をやりながら、副業をやりながら、そもそも時間がない。日記を書くくらいならできるかな……と思っていたけど、正直それすら難しい日もあります。

そこで考えたのが、「AIエージェントのチームを作って、コンテンツ制作を仕組み化しよう」というアイデアです。


なぜ「チャット型AI」ではダメだったのか

最初はChatGPTやClaudeに「記事を書いて」と頼むだけでした。でも、これには限界がありました。

  • 毎回ゼロからの指示が必要: 過去記事のテーマ、サイトのトーン、SEO方針——全部を毎回伝える必要がある
  • 品質のバラつき: 同じプロンプトでも出力が安定しない
  • 一般論になりがち: 僕の実体験を知らないから、どうしても「〜と言われています」的な記事になる
  • 工程が分断される: リサーチ、構成、執筆、SNS展開を別々にやると結局手間がかかる

必要だったのは、「単発の生成AI」ではなく、役割を分担した複数のAIが連携して動く仕組み——つまりAIエージェントチームでした。


9体のAIエージェントチーム

構築したのは、2つのラインで動く9体のエージェントチームです。

ライン1: 平日自動バッチ(コンテンツ制作)

平日は毎朝7時に自動で起動し、以下のフローでコンテンツを制作します。

役割やること
マーケティングマネージャー司令塔。曜日に応じてチャネル(HP / ManeBook)を振り分け、全体の品質管理
リサーチャーWeb検索でトレンド調査、SEOキーワード分析、競合チェック
アナリストリサーチ結果をもとにテーマを3件提案し、最適な1件を選定。構成案を作成
HPライター / ManeBookライターチャネルに応じたライターが記事を執筆
リパーパサー完成した記事からX(旧Twitter)投稿案を生成

フローを図にすると、こんな感じです。

マーケティングマネージャー(戦略判断)
  ├→ リサーチャー(トレンド調査)
  │     └→ アナリスト(テーマ選定・構成)
  │           └→ ライター(記事執筆)
  │                 └→ リパーパサー(X投稿案)
  └→ 品質チェック → PR作成 → レビュー待ち

ポイントは、最終的にGitHub PRを作成して停止すること。mainブランチにはマージしません。僕が内容を確認してからマージ → 自動デプロイという流れです。AIに任せるけど、公開判断は人間が握る。この設計が安心感につながっています。

ライン2: 週末振り返り(対話型)

役割やること
日記エージェント平日の活動メモを毎日聞き取り、構造化して保存
振り返りメンター週末に1週間の日記をもとに振り返りをファシリテート
noteライター振り返りの内容からnote記事を生成

こちらは自動化ではなく対話型。日記の蓄積 → 週末の振り返り → 記事化という流れで、内省の習慣化にも役立っています。


Claude Codeでどう実装したか

技術的な実装について、少し踏み込んで解説します。

エージェント定義はMarkdownファイル

各エージェントの役割・入出力・制約は、すべて agents/ ディレクトリにMarkdownファイルとして定義しています。例えば、HPライターの定義ファイルには以下のような内容が書かれています。

  • 役割: pm-hasegawa.com/blog用の記事を執筆
  • 入力: アナリストが作成した構成案、既存記事のリスト
  • 出力: MDXファイル(フロントマター付き)
  • 制約: 2,000字以上、体験談必須、一般論禁止、ブランドトーン準拠

こうした定義をMarkdownで管理するメリットは、バージョン管理ができること。エージェントの挙動を変えたくなったら、Markdownを編集してcommitするだけ。変更履歴も追えます。

スケジュール実行

平日朝7時の自動実行は、Claude Codeのリモート環境のスケジュールタスク機能を使っています。プロンプトは docs/scheduled-task-prompts.md に定義し、そのまま設定に入れるだけ。cron的な感覚で使えます。

品質チェックの仕組み

記事が完成したら、マーケティングマネージャーが以下のチェックリストで品質を確認します。

  • 2,000字以上か
  • 体験談が含まれているか(一般論だけの記事はNG)
  • [要ヒアリング] プレースホルダーが適切に配置されているか
  • フロントマター(title, date, category, tags, excerpt)が完備しているか
  • 既存記事とテーマが重複していないか
  • ビルドが通るか

この品質ゲートがあることで、「AIが書いたゴミ記事が量産される」という事態を防いでいます。


実際に運用してみて

運用を始めてまだ2日ですが、すでに2本の記事を完成させることができました。自分がやるのは体験談の追記とレビューだけ。それ以外の工程——リサーチ、テーマ選定、構成、執筆、X投稿案——はすべてエージェントチームが回してくれています。

うまくいっていること

1. コンテンツ更新の安定化

以前は月に1〜2本がやっとだったブログ更新が、週2〜3本ペースに改善しました。朝起きたらPRが上がっているので、通勤中にスマホでレビューして、OKならマージ。この「レビューだけすればいい」状態は本当に楽です。

2. テーマの偏り防止

リサーチャーとアナリストが既存記事を自動で分析し、同じカテゴリが続かないようにテーマを選定してくれます。人間だけでやると、つい得意分野に偏りがちですが、データドリブンでバランスが保てています。

3. SEO意識の向上

毎回のリサーチでトレンドキーワードを調査し、記事に反映する仕組みができたことで、検索流入を意識したコンテンツが自然と増えました。

課題・改善点

1. 体験談の壁

AIは僕の体験を知りません。だからこそ [要ヒアリング] プレースホルダーを入れるルールにしていますが、レビュー時に自分の言葉で埋める作業は残ります。これは「課題」というより「人間が介在すべきポイント」として、むしろポジティブに捉えています。

実はこの作業、今まさにこの記事でやっています。AIが書いた下書きに対して、自分のリアルな体験を差し込んでいく。この記事自体が、AIエージェントチームと僕の共同作業で出来上がったものです。

2. トーンの微調整

ブランドトーン(実践者・ビルダー目線)は定義してあるものの、たまに「教科書的」な文体になることがあります。レビューで赤入れして、エージェント定義を少しずつ改善しているところです。

3. 画像・図解は未自動化

テキストの生成は自動化できましたが、アイキャッチ画像や図解の作成はまだ手動です。ここは今後の課題。


AIエージェント活用で感じた3つの勘所

この仕組みを作ってみて感じたことを3つ共有します。

1. 「全自動」を目指さない

完全自動化は魅力的ですが、コンテンツの品質を担保するには人間のレビューが不可欠です。特にブランドの一貫性や体験談の真正性は、AIだけでは保証できません。「自動化 + 人間のレビュー」のハイブリッドが、今のところ最もバランスが良いと感じています。

2. エージェントは「役割」で分ける

1つの万能AIに全部やらせるより、役割を明確に分けたほうが出力品質が安定します。リサーチャーにはリサーチだけ、ライターには執筆だけ。人間の組織と同じで、専門性を持たせたほうがパフォーマンスが出るというのは面白い発見でした。

3. 定義ファイルはイテレーションで育てる

最初から完璧なエージェント定義を書こうとしない。まず動かして、出力を見て、定義を修正する。このサイクルを回すことで、徐々に理想の出力に近づいていきます。ソフトウェア開発のアジャイルと同じ考え方です。


まとめ: AIエージェントは「デジタルチームメイト」

9体のAIエージェントチームを構築して、コンテンツ制作パイプラインを自動化してみた結果、1人でも安定的にコンテンツを出し続ける仕組みができました。

2026年は「AIエージェント元年」と言われていますが、個人や小規模チームこそ恩恵が大きいと実感しています。大企業のように潤沢なリソースがなくても、AIエージェントを「デジタルチームメイト」として活用すれば、1人で回せる範囲は格段に広がります。

完全自動化ではなく、AIに任せるところと人間が判断するところを明確に分ける。この設計思想が、AIエージェント活用の肝だと思っています。

エージェントの定義ファイルはすべてGitHub上で公開しているので、興味がある方はぜひ覗いてみてください。

AIで生成された情報がWeb上に溢れる時代は、もうすぐそこまで来ています。だからこそ、その波に飲まれる前に、AIを使って自分から情報発信する術を身につけておくべきだと思っています。「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIと一緒に発信力を拡張する」。この記事が、その一歩目のヒントになれば嬉しいです。